ブユに噛まれてしまった!さあどうする?

アウトドアー好きの天敵、吸血昆虫

暖かくなってくるとアウトドア好きはキャンプに行きたくてウズウズしてきます。
もちろん、寒い冬にキャンプを楽しむ人も少なくありませんが、やはり暖かい時期はキャンプを楽しむ人が圧倒的に増えてきます。
ウズウズするのは人間だけではないようで、それに合わせるかのように刺されたり噛まれたりすると厄介な昆虫も増加してきますよね。

噛まれると大きく腫れてとっても痒いブユの生態

そのような刺したり噛んだりする代表的な吸血害虫が蚊やブユです。
(ブユは地方によってブヨ、ブトなどとも呼ばれますがここでは正式名称のブユで通します)
当然皆さんは被害に遭いたくないでしょうから、虫除け対策は万全にして屋外での活動を楽しんでいると思いますが、それでも虫に刺されてしまう事は決して少なくないと思います。
また、そんなときのために痒み止めなどの薬を持ち歩く人も多いでしょう。

蚊もブユも吸血昆虫ですが、同じ吸血するにしても蚊は口吻と呼ばれる尖った管を毛細血管に突き刺して麻酔成分の入った唾液を注入して直接吸血するのに対し、ブユは顎で皮膚を食いちぎることで出血させて吸血します。
皮膚を食いちぎるだなんて、本当に吸血鬼みたいなやつだと思います。
この時痛みを感じさせないためにブユは事前に麻酔成分を塗るので、噛まれた直後は痛みを感じる事は少ないようです。
ブユは飛ぶのが下手で、主に地面に近い足首やスネを狙う傾向があります。
また、小バエほどの大きさがあるにもかかわらず飛行中の羽音が全くしないので気付きにくく、いつの間にか噛まれている場合が多いのです。

また、蚊に刺された場合の多くは数時間で痒みは治まり、それ以降は快方に向かいますが、ブユの場合は患部は熱を持ち驚くほど赤く固く腫れあがり、耐えられないほどの猛烈な痒さを長時間にわたって引き起こすため、蚊よりもはるかにたちが悪いと言えるでしょう。

ブユの毒素による痒みは実に強烈で、大人でも耐える事はなかなか難しく、大人より我慢が出来ない子供の場合、患部を強く掻いてしまいます。
引っ掻けば引っ掻くほど毒素が広がり傷口だけでなく、ひどいときはリンパ節などにも腫れが拡大して菌も入りやすくなり、まれに歩けなくなるほどの重症化に繋がる場合もあるようです。

私の場合強いアレルギー反応が出てしまい、年単位で痒みに悩まされる事になってしまい、完治に近い状態に戻るまで3年ほどかかりましたが4年経った今でも時々患部がひどく痒くなったり腫れ上がったりします。

ブユは日中と夜間はおとなしくしていて、比較的涼しい朝夕が最も活発ですが、雨上がりなどで湿度が高い日は時間にかかわらず一日中活動します。
特に薄暗い場所、湿度の高い水辺、やぶや草木の茂った場所を好みます。
ブユの幼虫は水がきれいな場所でしか生育できないので、清流とブユはセットと思った方が良いでしょう。
つまりブユが生育する場所は水がきれいで自然が豊かな場所だとも言えます。

ブユは蚊が人間を察知するのと同じように、体温や人が吐き出す炭酸ガス、汗から分泌される乳酸に反応して近づいてきますから、肌を露出しない服を着て、汗のにおいを消し、ブユの苦手な明るい場所や明るい色の服装を着ることで、ブユの被害をかなり防ぐ事が出来ます。
また、ブユには一般の虫よけスプレーはほぼ効果は期待できません。
イカリジンと言う防虫成分は、蚊、ブユ、アブ、マダニに特化しているので、これが配合された虫除けを使いましょう。
化学薬品が苦手だったりどうしても使いたくないと言う人は、ブユが嫌うハッカ油を使って虫除けを自作すると良いでしょう。

一般の虫除けが効かないのと同様に、蚊取り線香も効果はありませんから「森林香」のような、煙で虫を寄せ付けなくする製品を併用するのもひとつの手段です。

煙による虫除けで殺虫効果はありません

かんたん、ハッカ油を使った虫除けの作り方

1,スプレーボトルに無水アルコールを10ml入れる
2,そのボトルにハッカ油を5〜10滴垂らす
3,さらに精製水を90ml入れて混ぜる
注意事項として、使うスプレーボトルはアルコールで溶けない物を使います。
またこの虫除けは汗で流れやすく、持続時間も短めなので少なくとも1時間おきの割合で、こまめに噴霧してください。

噛まれてしまった時の処置

このようにいろんな対策をしたにもかかわらず、キャンプサイトを離れて食器を洗うときなど、ちょっとした隙を突かれて噛まれてしまう事がよくあります。
ブユに噛まれた場合は蚊などと比べて傷の治りは遅く、1~2週間かかったり、私のように体質によっては年単位の長期にわたって症状が続く事があります。
患部を掻いてしまうとさらに治りが遅くなるので極力傷に触らず、掻かないようにしてください。
残念ながら噛まれてしまった場合、薬を塗ったりする前になるべく早く患部から毒素を絞り出します。
痛いと思うくらい強く絞り出してください。
絞り出したあとは患部をきれいな水で十分に洗い流します。
拭き取るだけでは痒みの元となる毒素が傷口や皮膚の表面に残ってしまいますから、流水できれいに洗い流す事はとても重要です。

次に患部を温めます。
ブユによる痒みの元は酵素毒です。
酵素毒は43℃の熱で不活性化するので、やや熱いと感じる温度のシャワーや蒸しタオルなどで患部を暖める事が重要です。
しかし、この毒を吸い出すのと暖める方法が有効なのは噛まれた直後のみと思ってください。
噛まれた直後は非常に効果がありますが、時間がたつほど効果は薄れていきます。
注意事項として、43℃でもあまりにも長時間暖め続けると皮膚の薄い子供などは低温火傷のリスクが生じてきますから、暖めすぎにはじゅうぶん注意してください。
噛まれたあとすぐにこれだけの処置をしても、おそらく患部は赤く腫れ上がり熱を持ってきます。
熱を持ち始めたら今度は患部を冷やします。

治療器具と治療薬

・ポイズンリムーバー
注射器型の毒を吸い出す事に特化した道具です。
普通に市販されていますので、これを使うと痛みも少なく非常に効率よく毒素を吸い出す事が出来ます。
また、ブユや蚊、アブだけでなくスズメバチや蛇などの毒を傷口から吸い出す事も出来るので、頻繁に屋外で活動する人は常備しておくと良いでしょう。

ポイズンリムーバー

・イッチザッパー
器具の裏側に7ミリ四方ほどの大きさの真鍮製のプレートが付いていて、そこを患部に当ててボタンを押すと一定時間(数秒ほど)自動で発熱して、その熱で毒素を不活性化するという仕組みです。
温度はかなり高めで、火傷することはありませんが初めて使う人はその熱さで顔が歪むほどです。
噛まれた直後なら非常に効果があります。
残念ながら10年以上前に生産が終了して現在は入手が非常に困難ですが、かなり効果がありました。
もし動作する物を見つけたら購入しても良いかもしれません。

・カユミトーレ
これもイッチザッパーと同じ原理で裏側の金属プレートが発熱しますが、イッチザッパーより温度が低く、効果もイッチザッパーほど強力ではありません。
また、この商品も生産が終了していますが、中古市場でわずかに流通している程度です。

・BITE HELP
バイトヘルプ(全く同じ物がバイトヘルパーと言う名前でも出ています)
これまた原理はイッチザッパーと同じ裏側の金属プレートが発熱するのですが、この商品固有の特徴としてスイッチを入れると、発熱に加え本体が細かく振動します。
この振動が何にどう効くのか正直わからないのですが・・・
生産状況はわかりませんが、現在メルカリやラクマ、ヤフオクなどで新品の状態でしかも比較的安易に入手できる唯一の商品です。
価格は1個1,000円前後と手頃な価格で売られています。
裏側の金属プレートを患部に当て、スイッチを入れると約30秒ほどかけて振動とともに患部がじわじわと暖められ、最後の方は大人でも顔をしかめるほど熱くなります。
今回紹介した中では価格の割に一番効果があると思いますので、見つけたら購入をお勧めします。
ただ、偽物も出回っているようです。

BITE HELP

気付くのが遅れ、時間が経過してしまった場合は、とにかく患部を触らないことがとても重要です。
痒み止めを塗り、子供の場合は患部を触らせないために絆創膏を貼ってあげましょう。
痒み止めはステロイド系の物が効果的ですが、副作用の心配もありますので皮膚科や薬局の薬剤師に相談するようにしましょう
市販薬では「ムヒαEX」が一番効果があると思います。


私の場合は、ブユに限らず毒虫の被害に遭った事がわかった時点で、
1,ポイズンリムーバーで毒を吸い出す事を試み
2,イッチザッパー、バイトヘルプなどで患部の温熱治療を施し
3,痒み止めを塗る
と、このような三つの治療を必ず行う事にしています。
とにかくブユの毒による症状は油断できないので、万一噛まれた後症状が少しでもおかしいと感じた場合、一刻も早く迷わず皮膚科を受診する事を強くお勧めします。

一番良いのはブユに噛まれない事で、生息していそうな所には近寄らない事、近寄るなら肌が露出しない服装を心がけると言う事に尽きます。


コメント