キャンピングカー、ここに注意

キャンピングカーを安全に乗る

キャンピングカーAMITYのオーナーになってちょうど2年、泊まりがけで出かけた回数は20回ほどで全走行距離は13,000㎞ほど。
AMITYは普段乗りの車とはかなり勝手が違うキャブコンです。
キャンピングカーの乗り始めにありがちな戸惑いや失敗談、危険な体験などを交えて実際に乗って感じたことを記してみたいと思います。

自車のサイズを知っておく

常に周囲(前後、左右、上下)に目を配り、目視を心がける

AMITYが納車されてわずか2週間後に無謀にも片道約360㎞の信州へと遠出した時です。
御嶽山の麓あたりを走行中、突然バンクから「ゴン」というかなり大きな衝突音がしました。
調べたところ、走っていた道は舗装路でしたが、左側から木々が大きく張り出してトンネル状になっており、その木の一部から垂れ下がっていた先端にこぶ状の物が付いたツルの様な物に気付かず、バンクにぶつけてしまったようです。
幸い、垂れ下がっていた物体の重量も軽く、それほど固い物ではなかったようで音の割にはバンクは全くの無傷でした。

特に上部には要注意

キャンピングカーの多くは、普段乗り慣れている乗用車より車幅と車長、車高が大きいため、巻き込みや後退時にはかなり気を遣います。
それでも巻き込みと後退時の後方確認は普通車の運転でも普段当たり前に行っていることなので、キャンピングカーに乗っても自然に注意が行くのですが、普段の運転ではまず気にかけない上部は慣れるまで忘れがちになります。
私もその出来事以降は上部にはかなり気遣うようになりました。

手軽に食事ができて便利なファストフードのドライブスルーは、高さ制限が設けられているところが殆どですので、利用時に自分の車が通れるか確認は必須です。
ちなみにAMITYはダメです。

出典、AtoZ

交差点などで右左折するときや、駐停車で幅寄せをする場合などは、道路に張り出している看板や家屋の軒先など、ミラーには全く写らなかったり目視が困難な部分も多いので特に注意が必要です。
また、一般的にバックモニターは後方の主に下方向を映し出しますが上部は映しません。
ですから、例えばお店の駐車場などにバックで入るときは、店舗の軒先が当たらないか体を乗り出して確認をするか、同乗者に誘導して貰うなど細心の注意が必要です。
同乗者がいない場合は、いったん下車して目視するくらいの慎重さが重要です。

人気のお店などでは誘導員がいるところもありますが、キャンピングカーの誘導に慣れていない事も考えられるので、基本的に自分が確実に注意するか、同乗者が誘導の補助する方が無難です。

コインパーキングなどでも、入り口の発券機上部にひさしが張り出している場所もあり、そういった所も要注意です。
こういったことは、スマートフォンのMapアプリの航空写真である程度は確認することが出来るので、積極的に利用するのも手です。

にわかに信じがたいことですが、駐車場の入り口は全く問題なくても、退出時に出口や出口へ向かう途中に、車高を下回る障害物があって通過できず、出られなくなってしまう場合もあるので、その辺にも注意が必要だったりします。

カーナビの過信は禁物

カーナビには自車の大きさを入力することで、それを元に走行可能な道を案内してくれるモデルもありますが、それを過信してはいけません。
私が使っているナビもそのモデルなのですが、車の寸法を入力していたにも関わらず、あるときナビを使っての走行中、ルート上にどう見てもくぐれそうにない高架を発見、よく見ると「桁下2.6m」の表示がされています。
AMITYの車高は277cmですから通れないことは明白です。
道幅も狭くかなり混み合う道だったのですが、幸いなことに手前に高架を避ける事が出来る横道があったので事なきを得ましたが、ナビを信用して気配りを怠っていたら接触してしまうか、後退するにも多くの後続車に大迷惑をかけるなど、危うく大事になるところでした。

私が経験した場所

改めて同じ場所を走ってみると、手前に桁下2.6mの標識があるものの、標識の設置場所が進行方向に対して右側の対向車線側のうえ、交通量が多い場所なので見落としがちになりますので、この辺は改善していただきたいものです。

高さ制限、車幅制限の標識の例

スマートフォンやタブレットのナビアプリを使っている人も多いと思いますが、ナビアプリの場合は車のサイズを考慮してくれないものが多いので、自車のサイズ(特に高さ)は確実に把握しておきましょう。
私は、標識を信用しないわけではないのですが、3m以下の場所は通らないように心がけています。

横風と追い越されるときの風圧に注意

横風に注意

これはキャンピングカーに限らず、軽自動車のワンボックスタイプなど車高が高めの車にありがちなことです。
キャンピングカー、特にキャブコンは居住性を高めるために後方に大きな居住スペースを積んでいます。
その高さは、キャブコンの中でも比較的小型のAMITYの場合277cmあります。
また、荷物を満載しているトラックと違い、どちらかというと容積の割には中は空洞に近い状態なので車重は軽めです。
極端な言い方をすれば四角い風船を積んでいるようなものです。
なので、横風には極めて弱く、特に海沿いや山中の風がよく抜ける高架は要注意です。
トンネル出口が高架の場合は特に注意が必要です。

強い横風が吹きやすい場所には、注意を促す標識や吹き流しがあるのでそれらを参考にしましょう。
また、標識などがない場合でも、強風時は通常の走行中に聞こえる風切り音とは違う、不規則な風切り音が発生するのでその時も注意が必要です。

私もかつて舞鶴若狭道の海岸沿いを走行中、トンネルを抜けた直後の高架にさしかかった時に突然強い横風に叩かれて車体が大きく左に持っていかれ、危うく法面に乗り上げそうになった経験があります。
こういったときはどうしても反射的に押されたのと反対方向に急ハンドルを切り、同時に急ブレーキを踏みがちですが、どちらも横転に繋がりかねない危険な行動なので、急ブレーキは踏まず落ち着いてゆっくりとハンドルを戻すようにする必要があります。

いきなりこの様な行動を取るのはなかなか難しいので、普段からイメージトレーニングをしておくことが重要です。
強風の中運転している時に、もし突風に煽られたらどうするかをイメージしながら走ることで、万一の場合素早く対応する事ができます。
また、強風時や高速道路の高架、山間部の谷、特に幅がぐっと狭くなっているような谷は、風がそこを通過するときは一時的に速度が増す傾向がありますから、そのような谷にかかる橋を走行するときなどは、特に速度を抑えめにして走るように心がけましょう。

重心が高くなると車体が不安定になりがちなので、バンクなど高い位置にはあまり重いものを積まない工夫も必要です。

トラックの風圧に注意

風が強くないときでも注意が必要です。
高速道路などで大型のトラックに追い越されるとき、車体はまずトラックが押し出す風圧で反対側に押され、トラックの追い越しが終わるときは逆に負圧でトラック側に引き込まれるような挙動をします。

横揺れや横方向の力に関しては、タイヤ幅を広くするスペーサーや揺れを減衰させるショックアブソーバーを装着することで、かなり抑えることが出来ますので、予算が許すなら導入するのも良いと思います。

普通車以上に急には止まれない

キャンピングカーは普段乗りの乗用車と比べると重量は重めになります。
重量が重い分ブレーキをかけたときの制動距離も伸びがちになります。
特に濡れた路面や下り坂ではそれが顕著になりますので、道路状況を先読みしてブレーキは常に早めにかけることが極めて重要ですし、速度を控えめにするのは言うまでもありません。

キャンピングカーは、食器や家電製品などを積んでいる場合が殆どなので、それらをしっかり固定しておかないと、揺れによって走行中に落下してしまうことは珍しくありません。
また、万一衝突事故などを起こしてしまった場合、固定していなかったものが凶器となって後方から飛んできてしまいますので、車内に置いてあるものはしっかりと固定しましょう。
細かいものは引き出しなど箱などにまとめておくようにします。

積極的なエンジンブレーキの利用

信州など標高の高い山が多い地域を走行すると、時として長い下り坂に遭遇することがあります。
長い下り坂を通常のフットブレーキだけを使って走行していると、やがてブレーキシステムの油圧系統内のオイルが摩擦熱で沸騰して、気泡が発生することによってブレーキが効かなくなってしまいます。
これをべーパーロック現象と言います。

また、べーパーロック現象とは別に、同じくフットブレーキの使いすぎで、ブレーキパッドが非常に高熱になることで、摩擦材の熱分解で発生したガス膜がブレーキローターの間にはさまり、摩擦力が減り、ブレーキの効きが悪くなることもあります。
これを「フェード現象」と言います。

これらを防ぐには、長い下り坂ではエンジンブレーキを積極的に多用することです。
エンジンブレーキはシフトギアを一段落とすことですが、速度が速すぎる状態でギヤを落とすと、時としてエンジンが故障することもあるので、ある程度速度を落としてからエンジンブレーキを使いましょう。
なにより下り坂ではより一層速度の出し過ぎに注意することが大切です。

万一、ブレーキが効かなくなった場合、まずはエンジンブレーキでできるだけ速度を落としたあと、パーキングブレーキを使い停車させます。
パーキングブレーキは、フットブレーキほど強く減速することができないので、焦って思い切りかけたくなってしまいますが、パーキングブレーキを急激に動作させると後輪がロックしてしまい車体がスピンする恐れがあるので、パーキングブレーキは徐々に強くかけるようにします。

それでも停車させられない場合、最終手段として自らガードレールに車体を擦りつけたり、路肩に車をぶつけるなどして止めます。その時は自身や同乗者が身を守る姿勢を取ることが非常に重要です。

長い下り坂が連続して続く場所では、「ブレーキ故障車待避所」などが設けられているときがあります。ブレーキが効かなくなって運良くこのような場所に遭遇したら、迷わずに進入するようにします。

下り坂でブレーキが効かなくなるなんて、考えたら非常に恐ろしいことですが、こうならないようにできる限り普段から車の仕組みの基本や非常時の対処法の基礎だけでも知っておきたいものです。

ガス欠に注意

多くのキャンピングカーは燃費がよくありません。
それでも軽自動車ベースのキャンピングカーは15km/l前後走るようですが、普通車ベースのキャブコンなどは7km/l前後となりますので、満タンでどれだけ走行できるかを十分把握しておく必要があります。
また、自然豊かな地方はガソリンスタンドが極めて少なく、さらに土日は営業していなかったり、仮にナビの地図上にあっても廃業していたりする場合が決して少なくありません。
そうなったときに慌てないよう地方に出かけた時は早め早めの給油を心がけましょう。
ガソリンを入れた予備タンクを持ち歩くことも考えられますが、静電気などでも発火するなど、極めて引火しやすいガソリンを持ち歩くことはもちろん、安易に予備タンクから補充することは決して勧められることでは無いと思います。

私はガソリンスタンドが少ないと思われる地域に出かけるときは、走行計画を立てる段階でどの辺まで無給油で走れるかを検討し、さらに余裕を見て手前にあるガソリンスタンドを複数件チェックして、なるべく早く給油するようにしています。
また、給油ランプが付いている車種の場合、ランプが点灯してからどのくらいの距離を走ることが出来るか、前もって検証しておくことも大切です。

タイヤの保守点検は念入りに

キャンピングカーに限らず、自動車のタイヤには適正空気圧というのがあります。
車体の重いキャンピングカーのタイヤには、常に大きな負荷がかかっており、空気圧の低下は転がり抵抗を増大させ燃費を悪くし、左右の踏ん張りも効かなくなり左右に揺れる原因にもなります。
また、空気圧不足のまま高速道路を走行すると、タイヤの側面が波打つ「スタンディングウェーブ現象」が発生し、最悪の場合バースト(破裂)してしまいます。

バーストは即座に車のコントロールを失い、横転につながります。
逆に高すぎる空気圧はタイヤの異常摩耗を引き起こし寿命を縮めます。
また、路面との接地面積も減るため、雨天時にスリップしたり、振動の吸収が悪く跳ねるような乗り心地になってしまいます。

キャンピングカーは毎日乗るような車ではありません。
多くの場合は月に数回、乗らない人は数ヶ月に1回という人もいると思います。
停車中、タイヤの底面は常に地面と接しているため、長時間停車が続くとその部分だけフラットになってしまう「フラットスポット」が出来てしまいます。
フラットスポットが出来ると走行中のガタつきの原因となり、交換するしか解決方法はなくなります。
こうならないように、週に1回程度は若干でも走行させるように心がけましょう。
エンジンの保守やバッテリーの維持のためにもマメに走行させることは重要です。
また、フラットスポットが出来るのを防ぐ丸い凹みの付いた「ホイールセイバー」という台にタイヤを乗せておく方法もあります。

ホイールセイバー(Fiamma製)

タイヤはゴムで出来ており、ゴムは紫外線や空気中のオゾンによってどんどん劣化していきます。
劣化したゴムは固くなり、ひび割れが発生しグリップ力が低下します。
ひび割れが見られたタイヤは脆くバーストに繋がるので、なるべく早く交換するようにしましょう。
大まかな目安は3年ごとの交換が良いと言われています。

タイヤには溝が切られています。
この溝はタイヤと路面の隙間に入り込んだ雨水を排出する働きがあるため、溝が減ってくると排水効果が悪くなり、わずかな雨でブレーキもハンドルも効かなくなります。
交換目安のスリップサインを確認して、サインが出ているようなら早急に交換しましょう。

出典、ブリヂストン

タイヤは自動車の中で唯一路面と接している部品で、接しているわずかな部分で、加速、走行、停車、コントロール、衝撃吸収などを担う非常に重要な部品です。
日頃の点検を怠らないようにしたいものです。

コーキングの劣化に注意

キャンピングカーのシェル部は一体成形のものもあれば、いくつかのパネルを貼り合わせたものがあります。また、パネルに穴を開けて窓やドアを取り付けてあり、パネルと窓枠などの隙間から雨が侵入するのを防ぐために隙間にコーキング処理が施されています。
コーキングは施工直後はしなやかで弾力がありますが、紫外線劣化により徐々に硬化していきます。弾力がなくなるとそこに隙間が生じ隙間から雨水が入り込むようになり、車内に使われている建材を腐食させてしまいます。
そうならないように定期的にコーキングを押したり目視によるチェックの必要があります。
コーキングを触ってみて固くなっていないか、ひび割れは発生していないかを確認し、それらが見られるようでしたら、販売店に相談して早めに修復するようにしましょう。
目安として、洗車する度のチェックに加え、2年ごとの車検の時に入念にチェックすると良いでしょう。

各ドアの閉め忘れに注意

キャンピングカーには通常の運転席、助手席の他に、住居スペースへ出入りするためのメインドアの他、貨物室、給油口へアクセスするためのドアなど、AMITYの場合は、運転席と助手席の他に標準で7カ所のドアがあります。
このようにドアの数が多いため、時としてドアを閉め忘れることがあります。
ドアの閉め忘れは特に高速走行では大きな事故に繋がります。
全てのドアが閉まっているか、また施錠がされているかを走行前に確実にチェックする習慣を付けましょう。

天井に備え付けられている換気扇、Max Fanは開けたままでも走行できるとありますが、その分高さと空気抵抗が増すので、少しでも燃費の悪化を防ぎ、思いがけないトラブルを防ぐ意味でも私は必ず閉じてから走行するようにしています。

その他の注意事項

後続車両を過度に気にしない

多くのキャンピングカーは大きく重心が高いため、コーナーでの横揺れが大きくカーブが苦手です。
特に下りのヘアピンカーブのような急カーブは手前で十分な減速が必要で、コーナーを攻めるなんて事は絶対に無理です。
また、重量もあるため上り坂がとても苦手です。
高さ、横幅もあるので左右から木々が伸びている山道での走行も気を遣います。
そうなると、どうしても走行速度が遅くなってしまい、後続車を従えた大名行列のようになってしまいます。

仮に法定速度で走っていたとしても、何台も連なった後続車を見てしまうとどうしても焦り気味になってしまいます。
自車が与える影響を気にすることはとても大切なことですが、過度に気にすることで無理な走行をしてしまい、万一事故など起こしてしまえばさらなる大渋滞となってしまいますので、譲れそうなスペースを見つけるまではある程度割り切って、冷静に走るようにしましょう。
停車できる十分なスペースを見つけたら、ウインカーを上げゆっくりと停車してハザードランプを点け、後続車に譲ります。
多くの後続車は、サンキューハザードを点けて速やかに追い越していってくれます。

中には煽りに近い乱暴な運転をする後続車が出てくるかもしれませんが、それでも冷静で確実な安全運転を心がけるようにしましょう。

就寝中は必ず施錠する

キャンピングカーは自動車とは言え、基本的に車内で生活が出来る居住スペースを持ち合わせています。
カーテンなどを閉めることで外部と遮断出来るので、プライバシーもしっかりと守られますが、ある意味とても目立つ存在なので、好奇の目を向ける人も少なくありません。
特に女性のひとり旅の場合、車内で過ごす時はわずかな時間でも自宅同様、施錠を心がけるようにして、万一誰かがドアをノックした場合でも安易にドアを開けず、必ず訪問者を確認してからドアを開けるようにしましょう。
夜間の就寝時は特に注意しましょう。

飲酒のタイミングに注意

車内でくつろぎながら食事が出来るのも、キャンピングカーの醍醐味です。
宿泊予定地に到着して、いろいろな準備も終えたらいよいよくつろぎタイムです。
食事をするなり、横になるなり、テレビを見るなり、焚き火をたのしむなり自由に過ごしましょう。
ただ、お酒だけは飲む前に注意しましょう。
これ以降本当に車を動かす必要はないかどうか、よく考えてからお酒を楽しむようにしてください。
わずかでも飲酒したら、当然ですが絶対に車を動かしてはいけません。
このような当たり前すぎる法律を守らずに、痛ましい事故を起こしてしまうドライバーが後を絶ちません。
旅先で気持ちが大きくなりがちですが、飲酒に関しては十分にルールを守って楽しみましょう。

ギャレーには簡易型の消化器を

キャンピングカーがキャンピングカーとして登録されるためには、調理用のコンロが設置されていなければいけません。
車内で火を使った調理が出来る設備があると言う事は、調理中に火災のリスクもあると言う事です。小型でも良いので、消化器(せめて簡易型の)は設置するようにしましょう。


また、キャンピングカーのドアは、日常の生活で使われているドアに比べて小型のものが多く、施錠解錠方法やドアノブの形状も少し違います。
火災やその他の緊急事態に陥った場合、慌てることのないよう日頃から速やかに脱出するための練習やイメージトレーニングをしておきましょう。

キャンピングカーでの注意点は、他にもたくさんあると思います。
他に思いつきましたら、記事を追加していきたいと思います。

キャンピングカーユーザーの皆さんが、素晴らしいキャンピングカーライフが過ごせますように。

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