約40年ほど前に使っていた自転車とテント

40年前の自転車と、ツーリング用テントの事情

キャンピング車

中学1年生の頃に「週間少年キング」と言う漫画雑誌に連載されていた、荘司としおさんが描く「サイクル野郎」という漫画と出会いました。

これは、高校入試に失敗した自転車店の次男「丸井輪太郎」が、自転車で日本一周武者修行の旅をする様子を描いた物です。
自転車にテントを始め生活用品一式を積み込んでの、笑いあり涙あり生死をさまようトラブルありの冒険に引き込まれてしまい、いつしか自分もそのような自転車旅行をしてみたくなっていました。

幸い、私の場合は高校入試はクリアできました。
そんな私に入学祝いにと父がキャンピング車を買ってくれました。
ここで言うキャンピング車とは、丈夫なフレームに太いタイヤを装着し、たくさんの荷物を効率よくかつバランス良く積載する工夫がされている、長距離サイクリングに特化した特別な自転車のことです。
そこそこの金額だったと思うのですが、とにかく自転車が大好きな私を理解してくれて頑張って買ってくれたようです。
1979年の事です

いまでこそ、自転車で日本一周をする人は数え切れないくらいいますが、当時はサイクリングを趣味とする人そのものが今ほど多くない時代でしたので、自転車で日本一周と言うのは世界一周ほどではないにしても、そこそこの冒険でした。
ちょうど同じ頃、大阪出身の冒険家、池本元光さんが、自転車「タルーゼ号」で世界一周やキリマンジャロへ上ったり、サハラ砂漠を横断したりしていましたが、私はさすがにそこまでの度胸は持ち合わせていませんでした。

当時は当然のことながら、コンビニエンスストアなどは存在しませんから、重くても水やお米を持ち歩きます。
お腹が空いたからと言っても、お弁当やおにぎりを簡単に手に入れることも出来ませんから、例えば峠道にさしかかってうっかり最後のレストランやドライブインなどを逃すとその先にしばらくは店舗などなく、空腹のまま走りきらなくてはいけませんでしたから、そういうときのために日持ちのするビスケットなどを積んでいました。

コンビニの代わりになるのが24時間営業の自販機ショップです。
缶飲料を始め、ラーメン、うどん、そば、ハンバーガー、ホットサンドなど様々な軽食を販売する自動販売機と、食事をするための椅子やテーブルが備え付けられているうえ、24時間開いていたので急な悪天候などのトラブルに見舞われた時など、避難所としても使うこともできたので心強い存在でした。
また、多くの場合トイレが設置されていたのでそれもありがたかったです。

携帯電話はもちろん、GPSを使うことで正確な現在地がわかり地図としても使えるスマートフォンのような非常に便利な物もありませんから、紙の地図は必須ですし、地図から距離はもちろんのこと、コース上の標高差などを読み取る事も大切です。
私の場合は、県単位の地図を利用していましたから、1回の旅行で走る県の数だけ地図が必要となりました。
インターネットも存在しませんから、これから向かう土地の道路状況などの情報を事前に地図で調べた後は、宿泊施設や地元の人、反対方向から走ってきたサイクリストから得るのが常でした。

色々と不便な時代でしたが、適当な空き地でテントを張ってても、特に苦情がでたりお巡りさんが職務質問してきたりすることは皆無に近かったし、民家でもごく普通にお手洗いを貸してもらうことができ、そう言う意味では良い時代だったのかもしれません。

キャンピング車から荷物を外した状態
フル装備した状態

自転車の仕様

愛車の名前アルバトロス号(フルオーダーキャンピング車)
フレームパイプ 丹下チャンピオンNo.2フルセット
(トップチューブにダウンチューブと同じ太いパイプを使った特別仕様)
560㎜ラグレス、2本巻きクロスドシートステイ
フロント、スモールフォークエンド
リヤ、ストレートドロップアウトエンド
チェーンフォールプロテクタ直付け
ポンプペグシートステー直付け
Wレバー台座、ボトル台座2カ所直付け
ブレーキアウターケーブル台座直付け
カンチブレーキ台座直付け
マッドガード隠し止め
チェーンホイールスギノマイティーツアートリプル 167.8㎜ 50×44×34T
フリーシマノジュラエース5S 14×16×19×23×26T
チェーンシマノ600UGオロ
ペダル極東プロエースロード
三ヶ島皮付きクリップ&ストラップ
ホイールハブ シマノジュラエースLFQR36H
リム アルミアラヤ650×42B36H
スポーク F♯14ステンレス R♯13スチール結線
タイヤ ウオルバーバルーン白650×42B
ディレーラーWレバー サンツアーシュパーブ
Fディレーラー サンツアーサイクロン
Rディレーラー サンツアーサイクロンGT
ブレーキレバー 吉貝コンペG
本体 マファッククリテリウムタンデム
ステム日東ダイナミック(ベル直付加工)
ハンドルバー日東グランドランドナーB132 本革製バーテープ
シートピラーサカエカスタムP5
サドルブルックスプロフェッショナル
マッドガードレフォール亀甲(前後ともR用)
電装品ダイナモ ソービッツ
ライト ソービッツ砲弾型大型
バッテリーランプ サンヨー
キャリア10㎜&12㎜スチールパイプ
バッグ類帆布製フロントバッグ×1
帆布製フロントサイドバッグ×2
帆布製リヤサイドバッグ×2
インフレーターゼファール

この自転車を使って、北陸、中部、北関東、近畿、四国、九州をテント泊やユースホステルを利用して走り回りました。
そして、私も日本一周をしようと夢見ていたのですが、様々な事情で実現することは叶いませんでした。

テント

ダンロップ サイクリングテントⅡ

出典 小学館 Be-pal 1983年6月号(No.24)p.160(キャンセカさんより提供)

このテントは、中に自転車を分解すること無く格納出来ると言う大胆な発想が一番の売りで、私もその売り文句に誘われてこのテントを購入しました。
テントに関する知識など、微塵も持ち合わせていなかった頃です。

グランドシートはテント本体と半分しか縫製されておらず、縫製されていない半分をめくり上げることが出来るようになっています。
これは自転車を入れることでグランドシートが汚れないようにとの配慮だと思われますが、夏場はここから虫が入り込んでくるのです。
大胆な発想に惹かれて購入したのですが、私の自転車は安定性重視のためホイールベースが長い上に、サイドバッグを装着できる専用のキャンピングキャリアが付いていたため、サイズ的にテント内に自転車を入れることが出来ませんでしたので、売り文句の機能の恩恵を受けることは出来ませんでした。
でも、今考えると狭いテント内で寝てるとき、寝返りのひょうしに自転車にぶつかって自分の方に倒れてきたかもしれないって考えると、ちょっと危険だったかもしれません。

ドーム型テントは現在は自立式が殆どですが、このテントはメインフレームが1本のみなので自立せず、ペグ打ちは必須ですから、ペグが打てる場所じゃないと設営できないと言うのも弱みです。

また、フライシートはかなり薄い上、現在のようにPUコーティングや縫い目にシームテープなどの防水処理はされていません。
また、前室は用意されていない上に、テントの側面(出入り口と背面)はフライシートで覆われていないむき出しの状態なので、強い雨が降ってくると出入りが困難だった上、雨漏りの心配もありました。

したがって、テントとしては価格の割にちょっと頼りなく、弱い雨風や夜露をしのぐ程度の機能しかなかったのではないかと思います。
幸いなことに、私は雨が降る状態でのテント泊は殆どありませんでしたし、やはりテント泊中、雨に降られるのは嫌だったので、できるだけ雨が当たらないような場所を探してテントを張る事を心がけていたせいか、雨漏りに悩まされることはありませんでした。
また、形状からわかるように、スカートなども装備していませんから、寒い時期のテント内の冷え込みは相当な物で、寒くて寝られないこともしばしばでした。

私の記憶に間違いが無ければ、このテントに使われているフレームは、メイン、サブのどちらにも高強度で高い弾性を持ち合わせたダンロップの山岳用テントと同じ物が使われていたと思います。
ダンロップはこのテントのために、あえて新たなフレームを開発することはしなかったのかもしれません。

約40年程前のこの情報、特にテントに関してはインターネットでいくら検索しても情報は全く見つけることができず、私のかすかに残る曖昧な記憶と、数少ない写真のみだったのですが、アメブロでフォローさせていただいてるキャンセカさんの協力を得て、さらに詳しく知ることが出来ました。
キャンセカさん、ありがとうございました。

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