極めて危険な落雷から身を守る

落雷を予測する

この記事は2021年7月12日に書いています。
この時期は、ちょうど梅雨の末期で日本のあちこちで発生する激しい雷雨のニュース相次いで流れます。

恐い落雷

登山やキャンプなど屋外での活動で恐い自然現象のひとつに、落雷があります。
つい先ほどまで青空が見えていたと思ったら、あっという間に黒い雲が沸いてきて何やら「ゴロゴロ」と雷鳴が聞こえたと思ったら、いきなりものすごい大粒で大量の雨と共に激しい雷に見舞われたことがある人は少なくないと思います。
大粒の雨に加え、大きな氷の塊「雹」が降ってきて、大切な車の屋根をボコボコにされることもあります。

雷と雷雲

雷は雲の中の粒子が上昇気流の中でこすれ合って帯電することによって発生します。
上昇気流が激しいほど帯電する電気の量も大きくなりますから、雲の中はもう電気だらけと言うことになります。
激しい上昇気流は夏の風物詩でもある「入道雲(積乱雲)」を作ります。
それが発達すると上部が平らになった「かなとこ雲」となります。
入道雲とかなとこ雲の中は、極めて激しい上昇気流が渦巻いているので、航空機はレーダーで積乱雲を発見した場合は、それを回避するようなコースを取ります。

積乱雲に限らず、雲と上昇風はセットなので、ハンググライダーやパラグライダーは雲の中はもちろん、雲の直下を飛行することは極めて危険な行為なので絶対に避けなくてはいけません。
うっかり雲の下に行ってしまうと、上昇風のパワーで雲の中に吸い込まれてしまい、激しい乱気流でもみくちゃにされ、そのパワーは時として機体を簡単に破壊するほどです。

そんな激しい上昇風で出来た積乱雲の下にたまったマイナスの電気は、地上に生じたプラスの電気に引かれて地上に流れます。
通常空気は電気を通さないのですが、貯まりに貯まった電気は無理矢理空気の中を通って地上に流れます。
その時の電気の流れ(放電)が稲妻となって光るわけです。
この放電現象(落雷)時の電気の強さは100万ボルトから10億ボルトとも言われています。
一般家庭の電気は、普通100ボルトですから、いかにすごいパワーかがわかると思います。

これだけのパワーの電気がおよそ2,000mの上空から地上に流れる時に、空気を激しく震わせて「ゴロゴロ」という雷鳴となります。
稲妻の速度は秒速20万メートル、雷雲から地表まで0.01秒で到達します。


この凄まじい電気に当たるとどうなるのでしょうか?
私が小学校の低学年だった頃、鉄筋コンクリート製の自宅に雷が落ちたことがあります。
アンテナに落ちたようで、テレビは完全に破壊された上、翌朝父が家のまわりを確認したところ、コンクリートの一部が欠け落ちていました。
この凄まじいパワーの電気が人間に流れると、ひとたまりもありません。
過去に、屋外のコンサート会場やスポーツイベント中に落雷があり人命が失われると言う痛ましい事故も発生しています。

横や下からの落雷

雷は平野部では一般的に上から下に向かって落ちますが、登山中で雲の中にいたり、雲の上にいたりした場合、雷は真横に落ちたり下から上に落ちたりします。
さらに、濡れた地面に落ちた場合は、直撃を受けなくても濡れた地面を伝って近くにいる人を感電させます。

雷鳴が聞こえるまえに観察して予測する

雷が恐いのはこれだけではありません。
雷鳴が全く聞こえない場合でも、いきなり雷の直撃を食らうことがあります。

では、このような落雷に備えるにはどうしたらいいのでしょうか。
多くの場合は、雲を観察していると落雷の前兆を知る事が出来ます。

遠くに見える上の写真のような入道雲や、かなとこ雲は雷雲です。
遠くにあるのでそれほど心配はしなくてもいいのですが、黒い雲が上空に出てきたらそれは雷雲の可能性が高いので、できるだけ早く丈夫な建物に避難しましょう。

建物への避難が間に合わない場合は車内に避難します。
小さな車でも車内であれば、仮にその車に雷が落ちても、電気は車の金属製の表面を流れて地面に逃げていくので、中で感電することはありません。
しかし、念のため車内の金属部には触れないようにして、できるだけ車内の中央に寄ります。
同じ車内でも、オープンカーの金属で出来ていないソフト幌は感電の恐れがあります。
キャンピングカーの居住スペースは、FRPで出来ていますが金属の骨組みがありますので比較的安全だと思われます。

背の高い木の下などは落雷を誘発するので非常に危険です。
直接雷撃を受けなくても、木に落ちた雷は側にいる人を感電させます。
また、避難が間に合わない場合は金属製のバックルの付いたベルトや腕時計などを体からできるだけ離し、地面のくぼみがあれば迷わずくぼみに入って、這うようにして雷が遠ざかるのを待ちます。
くぼみがなくても出来るだけ体が低くなるようにします。

ラジオのAM波は雷に大きく影響されます。
ラジオを聞いているときに、「ガガガッ」という雑音が入ったときは、どこかで落雷があったことを示しているので存在に気付くことが出来ます。
ただ、最近のラジオは雷の影響を受けにくい設計になっているようなので、ラジオだけでは安心できません。

また、「嵐の前の静けさ」と言う言葉があるように、激しい雷雨の直前に今まで吹いていた風が一時的にピタリと止むことがあります。
これを「ウインドカーム」と言い、激しい雷雨の前兆と捉えることが出来ます。
しかし、これも本当にウインドカームなのか、たまたま風が止んだだけなのかを判断する決め手はありません。

落雷探知機で確実に予測する

人間の五感による観察より確実に雷を予知する方法として、雷の正体が電気であることを利用した、重量わずか75グラムの「ストライクアラート」と言う雷探知機が世の中には存在します。

通常雷鳴が聞こえた時点で、すでに雷の射程距離に入っており、落雷の危険が迫っていると言われますから、落雷による被害を避けるには雷鳴が聞こえる前に雷の存在を知る必要があります。
ストライクアラートがあれば、雷鳴が聞こえなくても雷の発生を知ることが出来、さらに雷が自分に近づいてきているのか遠ざかっているのかもわかります。
光と「ピピッ」という大きな音で雷の存在を知らせてくれるのですが、この警告音が実にハッキリと聞こえるので身につけていなくても側に置いておくだけで雷の存在を知らせてくれます。
(お勧めしませんが音を消すことも出来ます)

なお、「ストライクアラート」は落雷があったときに発生する電磁波に反応して、雷の状態を予測、警告してくれる製品なので、そばに電磁波を出す製品があると、当然ですが誤動作を起こします。
電磁波を出す主な家電製品は、スマートフォンなどの携帯電話、蛍光灯照明、電子レンジ、冷蔵庫、電気毛布、ホットカーペット、こたつ、マッサージチェア、シェーバーなどですが、この中で屋外活動で影響があるのは、携帯電話でしょう。
使用時は、電磁波の発生源から遠ざけるようにしましょう。

価格は12,001円(あおば屋さんでの価格)と高価なように思えますが、命を守ることを考えたら私は決して高価だとは思いません。
アウトドア一を楽しむ人は、導入をお勧めします。

このストライクアラートはAmazonでも買えますがマニュアルは英語のみです。
10年以上前から取り扱いがあり、アフターがしっかりしている「あおば屋」さんでの購入をお勧めします。もちろん、わかりやすく翻訳された日本語マニュアルが付いています。
警告音と、シグナルの色を見れば危険かどうか判断できますが、雷までのおおよその距離が数値として知りたい人も多いでしょう。
私の持っている物はかなり古いのでマイル表示のみですが、あおば屋さんが販売している最新の物はマイル表示に加えてキロメートル表示もされています。

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